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朝日新聞様・『あいあいAI京都』で
紹介されました!


 

 ※ご承諾を得て、転用させていただいています。記事の著作は凛が所有するものではありません。

「若き“地直し”職人」

着物のお医者さん多忙 HPなどに反響次々

 着物の「地直し」をご存じでしょうか? いわば着物のお医者さんで、着物に加工される前の生地の染料の飛びや織りムラなど、「難」と呼ばれる不良部分を整え、本来の姿に戻す。着物に仕立てられた後には、生地の日焼け、カビ、虫食いなどのトラブルに対処する。

 池田信行さん(38)と黄瀬敏生さん(36)(写真上=左が池田さん、右が黄瀬さん)は若き地直し職人。
2人は呉服業界で働いていた経験や地直し屋に出入りしていたことから弟子入り、00年1月に2人で独立し、翌年3月有限会社凛(りん)を設立した。02年5月末にホームページ(写真下)を開設し、同年7月からはメールマガジンを配信している。「自分たちの仕事をもっと多くの人に知ってもらえればと思って」と黄瀬さん。現在の配信数は約2000件。

 呉服業界の裏話や着物に関するコラムなど「職人がコッソリ教える着物の全て!」というキャッチコピーそのものの内容だ。「こんなことになってたの?」といった驚きや「こんな着物があるんですが、何とかなりますか?」など反響が寄せられている。「まさか、こんなに反響があるとは、うれしいですね」。池田さんは「お客さんの生の声を聞いて、仕事にも反映させていきたいです」と話す。

 地直し屋さんに持ち込まれる「難」は様々。例えばシミひとつにしても、染料か食べこぼしか。油性か水性か、また生地は絹か化繊か……。診断が最も難しい作業のひとつだ。「間違うと取り返しがつきませんから、経験と勘がものをいいます」。一面にカビがびっしり生えて、真っ白になった喪服が持ち込まれたこともある。「着物は高価なものですから、皆さん大事にしまいすぎはるようですね。本当は半年に1度ぐらいはタンスから出して、陰干しして風を通した方がいいんですよ」

 6畳の作業場に40ワットの蛍光灯が32本もつけられている。「どんな難も見逃さないためです。目は疲れますね」。染み抜き用の薬品に酔ってしまうこともある。
「でも、『これは直らへんやろ』と持ち込まれたものを直した時や、お客さんから『ありがとう』といわれた時にはやりがいを感じます」。呉服関係の業者はもちろん、個人の顧客も少なくない。「羽織を帯にしたい」「肩身の着物をほかの形で残したい」と言った着物のリフォームにも対応する。2人の呉服に関する知識やネットワークを生かして、お客の要望に応えられるのが強みだ。「これからも呉服の町、室町に幅広くかかわっていきたいです」
 




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